【事例紹介】
2007年4月28日、A鋼材会社とB倉庫会社は倉庫委託契約を結び、A社の鋼材をB社によって保管し、A社の貨物引替証によって出荷する。契約の有効期間は2007年4月27日から2007年12月31日まで。契約期限が満了後、A社はまだ3643トンの鋼材をB社に置いていた。2008年3月12日、B社はA社に3643トンの鋼材在庫明細書を提出した。
2007年9月19日、A社とCコールドローリング会社の間で売買契約が締結され、B社に保存してある3643トンの鋼材をC社に1555万元で売った。C社は頭金として310万元を支払い、残りの1245万元を一カ月以内に支払い終える予定だった。納品方法として、C社は自ら貨物を引出、倉庫の保管料もC社の負担となる。
2008年4月15日、C社はA社の貨物引替証がないまま、B社からA社のすべての在庫、3643トンの鋼材を引出した。C社は後、A社に残りの1245万元を分割払いにするという誓約書を提出し、2008年6月30日までに全額支払い終えると承諾。
A社は訴訟を提起し、B社に残りの鋼材の金額の支払いを求めた。訴訟において、A社は倉庫委託契約に基づいて権利を主張していると説明。
一審法院の見解では、A社は倉庫委託契約に基づいてB社の違約責任を主張しているが、双方間の契約期間が満了後、本来の契約はすでにB社にとって効力がなくなっている。また、B社は保管上に問題はなく、A社に在庫鋼材の損失をもたらしたわけではない。
A社とC社の間には事実上の売買契約があり、更にA社は310万元の頭金とC社の誓約書を受け取っている。C社がB社から貨物を引出す行為は実際にA社とC社の売買契約を履行するためであり、B社がC社に貨物を引き渡したことについては、違約にならない。従って、法院の判決として「A社の請求を却下」した。
【判決】
2審法院はB社とA社は契約期間満了後も倉庫委託契約が存在すると判断。B社はA社の貨物引替証がないままに、A社の貨物をC社に渡したため、A社に対して違約賠償責任を負うべきであると認めた。B社の行為により、A社は未だに鋼材の全額が回収できていないため、B社はA社に対して残額を賠償すべきである。従って、法院は「B社はA社に対して1245万元の鋼材金額を賠償する。A社の他の請求を却下。」との判決をくだした。
【解説】
A社とB社の間に結んだ倉庫委託契約は期間が満了したとしても法律関係は存在する。契約法の第393条の規定により、「倉庫保管期限が満了し、委託者或いは貨物引替証を持つものが貨物を引き取らない場合、保管者は有効期間内に引き取るよう催促することができる。有効期間を過ぎても貨物を引取らない場合、保管者はその貨物を供託することができる。」
本案において、倉庫委託契約は2007年12月31日に期間が満了したが、B社は法律規定に従い、A社に当該鋼材を引取ることを催促していなかったほか、A社も貨物を引出すことを要求していなかった。すなわち、当該鋼材は引き続きB社より保管していた。2008年3月、B社はA社に在庫鋼材明細を提出したが、引取りの催促をしていなかった。
従って、双方の間に事実上、倉庫委託の法律関係が存在すると言える。倉庫委託契約は非公式契約であり、書面の形でも口頭の形でも締結することができる。双方は本来の書面契約の期間満了後も、B社は引き続きA社の鋼材を保管するという合意が形成したことになる。
B社は倉庫保管側として、倉庫に置いてある貨物を大事に保管することが義務である。A社とC社の間に売買契約が存在するとしても、B社は勝手に第三者に貨物を渡すことはできない。C社がA社に提出した分割払いの誓約書について、A社の承認を受けた貨物引替証として認めることができない。
A社の損失は未回収の1245万元となり、B社が賠償すべきである。契約法の第113条第1項により、当事者一方が契約義務を履行しない、または契約通りにしなかったことで、相手方に損失をもたらした場合、損失の賠償額は違約によりもたらされる損失に相応する。
本案において、B社はA社とC社の売買契約の内容について詳しく知っており、A社は売買契約によって総額1555万元を回収すべきであり、C社は当時310万元しか支払っていない。残りの1245万円は未だに回収ができていないにも関わらず、B社が倉庫委託契約に違反し、勝手に貨物をC社に渡した結果、A社に1245万元の損失をもたらした。B社はA社に対しての債務履行を完了後、C社に賠償を請求することができる。
【関連法律】
「中華人民共和国契約法」第393条の規定―倉庫保管期間が満了しても、委託者或いは貨物引替証を持つものが貨物を引き取らない場合、保管者は有効期間内に引き取るよう催促することができる。有効期間を過ぎても貨物を引取らない場合、保管者はその貨物を供託することができる。
「中華人民共和国契約法」第113条第1項の規定―当事者一方が契約義務を履行しないまたは契約通りにしなかったことで、相手方に損失をもたらした場合、損失の賠償額は違約によりもたらされる損失に相応しなければならない。契約履行によって、得ることのできる利益の範囲内であり、契約に違反した一方が契約を締結した時点で予見できた損失を超えてはならない。 |